「ビルマ〜パコダの影で」感想、その2

昨秋、ビルマ・タイの国境付近で「ランボー・最後の戦線」の撮影中に、あの抗議行動が起き、実弾がスタローン氏の顔の横をかすめ、さすがのランボー氏も実戦には勝てず、ホウホウの体で逃げ帰り、「怖かった・・」と言ったという記事がありました。

ビルマ〜パコダの影で」は、ランボー氏も逃げ帰ったというジャングルの奥地まで行って撮影し、銃弾の聞こえる中で少数民族や全ビルマ学生民主戦線(ABSDF)、そして戦争で孤児となった子どもたちにインタビューしてきたドキュメンタリーです。

アイリーヌ(美しい!)監督の勇気と行動力に感動し、孤児となった子たちが、「両親はビルマ軍の兵士に、目と胸を撃たれて殺された」、「(自分の)年は覚えていないの」と淡々と答え、「大きくなったら何になる?」の問いに、「兵士になって、ビルマ軍と戦う」という選択肢しか考えられない子どもたちの答えに胸が詰まりました。

ビルマは、地下資源も豊かで、決して貧しい国ではありません。
しかし国の予算の半分以上もが国防費に使われ、教育や福祉には僅か5%です。
この国防費を教育や福祉に回せば、ODAなどに頼らずとも国民は豊かな生活をおくれるはずです。
なにゆえ、軍事費がこのように突出しているのか?
しかも、周辺国家に敵対する国はありません。
軍が銃を向けているのは自国民たちなのです。
こんな馬鹿げた事があるでしょうか。

多くのビルマ人が他国での亡命を余儀なくされています。
帰りたくても帰れない祖国。会いたくても会えない家族。
言いたくても、ものを言う自由がない国。

物が言えない彼らに代わって、自由に物が言える国に住む者は、彼らの代わりに発言する義務があるんじゃないだろうか。
アイリーン監督が言うように、まず些細なことでも、自分ができることから始めようと思います。